長時間労働が課題となっていた建設業界でも、官民共同で取り組む働き方改革によって4週8休(週休2日)が浸透しつつあります。ただ実際に働く人たちが本当に休めるようになっているのか、気になる方もいるでしょう。
そこで今回は日本建設業連合会(日建連)と厚生労働省のレポートをもとに、2023年度通年での4週8休達成率と休日取得率をデータで解説します。
2023年度の建設業4週8休比率(休日取得率)は88.4%
現在、国は建設業で働く人の週休2日化を推進しており、2029年度までに週休2日率を原則100%とする目標を掲げています。では進捗状況はどうでしょうか。
まず日本建設業連合会「週休二日実現行動計画 2023年度通期 フォローアップ報告書」をもとに、2023年度の作業所閉所状況を見てみましょう。
4週間での閉所日数(対前年) | 4週8休閉所以上の作業所閉所率(対前年) | 従業員の4週8休以上の休日取得率(対前年) | |
土木 | 7.32(0.79ポイント⤴) | 66.1%(11.6ポイント⤴) | 88.4%(8.9ポイント⤴) |
建築 | 6.46(0.53ポイント⤴) | 39.1%(8.3ポイント⤴) | 81.5%(6.8ポイント⤴) |
全体 | 6.87(0.28ポイント⤴) | 52.0%(9.9ポイント⤴) | 84.9%(7.8ポイント⤴) |
土木、建築ともに前年を上回る閉所率と休日取得率を達成しています。
2019年の調査開始時と比べると、4週間での閉所日数は全体で0.65ポイント、土木は0.79ポイント、建築は0.53ポイントほどの上昇です。また2019年からの4週8休閉所達成率は全体で25.7ポイントの上昇、土木は32.1ポイント、建築は19.8ポイントの上昇でした。
従業員の休日取得率については、集計開始が2022年だったためそれ以前の推移は不明です。しかし閉所状況から判断すると、順調に増えてきていることは間違いありません。
ここでは、建設業全体で週休2日化が順調に進んでいることが明らかになりました。特に土木工事の休日取得状況は88.4%と高いことから、土木の働き方改革がより快調であることがわかります。
建設業の休日取得率は全産業平均と遜色ないレベルに
次に、2023年の建設業全体と全産業平均の年間休日数を見てみましょう。
厚生労働省が集計した令和5年の業種別年間休日数のデータによると、建設業の労働者1人当たり平均年間休日総数は114.9日でした。全産業平均が115.6日であり、建設業でもほぼ同等の休日数を確保できていることがわかります。
続いて有給休暇取得率は以下のとおりです。
建設業(対前年) | 全産業平均(対前年) | |
有給休暇付与日数 | 17.8日(前年と変わらず) | 16.9日(0.7日⤵) |
労働者1人当たり平均取得日数 | 10.8日(0.5日⤴) | 11.0日(0.1日⤴) |
平均取得率 | 60.7%(3.2%⤴) | 65.3%(3.2%⤴) |
建設業の有給取得率も年間休日数と同様に、全産業平均とほぼ変わらない水準に達しています。有給休暇の付与日数に関して言えば、むしろ建設業のほうが全産業平均より多いこともわかりました。ここからも建設業界のホワイト化が進んでいることが証明されています。
参照:厚生労働省「令和6年就労条件総合調査の概況」「令和5年就労条件総合調査の概況」
土木工事で4週8休が実現しやすい理由
前の日建連のデータからは、4週8休達成率や休日取得率で土木が建築を少し上回っていることもわかりました。
そもそも4週8休を実現するためには、タイト過ぎない工期設定が前提です。国や自治体が発注する公共工事では、国の指針どおりに週休2日に見合った工期設定をするため、土木工事で働く人は比較的休暇を取りやすいといえます。
なお、国は2024年にも労働時間短縮のための法改正を実施しています。例えば「公共工事の品質確保の促進に関する法律」改正法では、国の直轄工事において事業者と発注者両方の契約内容を第三者がチェックし、週休2日の実現に見合う内容かどうかを公表することになりました。
また「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」においては、以下のような労働時間短縮施策を打ち出しています。
- 受注者側にも著しく短い工期での契約締結を禁止(工期ダンピング対策の強化)
- ICTによる現場技術者の専任義務の合理化
- 元下間のデータ共有など、現場管理の「指針」を国が作成
- 下請業者を多数使う「特定建設業者」や公共工事受注者の現場管理効率化を努力義務化
- 施工体制台帳の提出義務の合理化
土木工事においては、週休2日化に向けたこれらの施策がダイレクトに反映されるため、これからも働きやすさが増していくでしょう。
土木工事は4週8休ならワークライフバランスを実現しやすい
今回は日建連のデータをもとに、建設業界の4週8休や休暇取得の進捗状況を紹介しました。
国や日建連の取り組みにより、業界全体の週休2日率が上昇を続けていますが、特に土木工事では他産業にも劣らない休日取得率を実現しています。働く魅力がアップした土木工事のお仕事を探したい方は、ぜひパシコン技術管理の求人をチェックしてみてください。