建設業界においても、一部の仕事はITやAIで代替できるようになっていくと見られますが、絶対になくならない仕事もあります。その1つが社会インフラのメンテナンスです。
現在、日本では老朽化した社会インフラが問題となっており、国と建設業界は予防保全の視点から、新しい維持管理手法でメンテナンスを実施しています。
そこで今回は、最近注目を集めている社会インフラのメンテナンスの仕事をピックアップ。その社会的需要と働き方の魅力を紹介します。
社会インフラのメンテナンスとは?
社会インフラのメンテナンスとは、社会資本を適切に維持保全する業務のことです。社会インフラとは道路や橋梁、トンネル、ダムなどの公共施設を指します。
これらのインフラが老朽化し、公共設備としての機能が低下すると、人命やライフラインの安全性を脅かす可能性があります。そのため点検・補修設計、アセットマネジメントを行い、適切に維持保全しなければなりません。
現在、国土交通省では「点検・診断⇒計画⇒修繕・更新」のメンテナンスサイクルを掲げ、戦略的・効率的なインフラの維持管理・更新を推進しています。社会インフラメンテナンスの仕事は、構造物の点検や補修設計、アセットマネジメントを行うことで、インフラの寿命を伸ばす重要な役割を担っているのです。
社会インフラメンテナンスの仕事が絶対無くならない理由
日本の高度成長期に建設された社会インフラの多くは、今後20年間で建設後50年以上経過した状態になっていきます。
老朽化したインフラのすべてを損傷がわかってから修繕(事後保全)した場合、30年後の修繕費⽤は現在の約2.4倍にも及ぶと推計されており、インフラ機能に支障が出る社会的損失も計り知れません。
そのため国土交通省は、損傷が軽微なうちに、予防的なメンテナンスを実施する「予防保全」へと切り替える方針を打ち出しました。「事後保全」から「予防保全」へ転換した場合、補修費用の増加は現在の約1.3倍程度に留められ、1年あたりの費⽤も約5割縮減できる見込みです。
このように予防的メンテナンスの需要が高まる中、社会インフラの維持・更新の仕事が無くなることはないと考えられます。気になるAI代替性についてですが、インフラ構造物は設置された場所ごとに最適化され、同じものが2つとないため、AIが学習してアウトプットするのは困難でしょう。
参照:国土交通省「予防保全型のインフラ老朽化対策の推進」
社会インフラメンテナンスの仕事の3つの魅力
ここからは、社会インフラメンテナンスの仕事の魅力を3つ紹介します。
インフラ老朽化対策・国土強靭化のニーズがさらに高まる
日本では今後、インフラの老朽化対策の需要がさらに高まる見込みです。2030年には道路橋の約55%、トンネルの約36%、河川管理施設の約23%が建設後50年を超えるといわれており、各インフラの長寿命化が避けられません。
また、地震、豪雨、火山の多い日本においては、国力を維持するための「国土強靭化」も急務です。「国土強靭化」とは、大災害発生時における人的・社会的・経済的ダメージを最小限に抑え、迅速な復旧復興ができる国と地域をつくることです。
国土強靭化対策には社会インフラの強化が欠かせません。国土強靭化対策によって、被災後の回復費用を約1/5から1/6に抑えられるとの試算もあるため、国はインフラメンテナンスにより注力することが見込まれます。仕事の社会貢献度がさらにアップすることも間違いありません。
参照:国土交通省「予防保全型のインフラ老朽化対策の推進」
参照:内閣官房 国土強靱化推進室「すすめよう災害に強い国づくり~国土強靭化とは~」
公共工事が中心のクリーンな労働環境
インフラメンテナンスのもう1つの魅力は、景気や社会情勢に需要が左右されない公共工事、かつ大手ゼネコンなどのクリーンな労働環境です。
国が発注する工事では、入札者に対して「予定価格の〇%以上」と入札価格の下限金額に一定の基準を設定しているため、工事の請負金額自体が高く保たれます。さらに総合評価落札方式においては、賃上げを実施する企業が入札に有利になる仕組みもあるため、公共工事の賃金は民間工事より高めの傾向があります。
特にスーパーゼネコンや大手企業が請け負う公共工事の仕事なら、コンプライアンスを遵守したクリーンな環境で働くことが可能です。
働き方改革が進んだ土木分野で働ける
社会インフラメンテナンスの3つ目の魅力は、働き方改革の進んだ現場で働けることです。
国が発注する公共工事においては働き方改革が推進され、民間工事と比べると年間休暇数が多い傾向にあります。実際に2023年度の4週8休(週休2日)達成率を見てみると、建築工事の39.1%に対し土木工事は66.1%と、大きくリードしていることがおわかりいただけるでしょう。
現在、国は工期全体での週休2日実現に留まらず、月単位の週休2日実現を目指しています。土木分野の仕事では今後さらに休暇が取りやすくなり、柔軟な働き方が実現できると期待できます。
参照:日本建設業連合会「週休二日実現行動計画2023年度通期フォローアップ報告書」
パシコン技術管理ならクリーンな公共事業で仕事できます!
インフラの老朽化対策(予防保全)と国土強靭化政策により、社会インフラメンテナンスの需要は今後いっそう高まることが予想されます。
なお、パシコン技術管理ではインフラメンテナンスの仕事の求人を掲載しています。以下はその一例です。
- 橋梁・河川施設などの構造物劣化調査・点検スタッフ
- インフラ構造物などの補修設計技術者 ほか
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