長時間労働が課題の建設業界でも、完全週休2日制の求人を見かけることが多くなりました。
建設業界で週休2日化が進んでいる背景には、日本建設業連合会(以下、日建連)と業界による取り組みがあります。今回は日建連や建設業界の取り組み事例と併せて、実際の週休2日の求人例も紹介します。
2023年度の建設業週休2日実施状況
日建連の「週休二日実現行動計画」フォローアップ報告書によると、2023年度(通期)の週休2日実施状況は以下のとおりです。
【4週8閉所以上の達成状況】
達成率 | 2022年度との比較 | 2019年度との比較 | |
全体 | 52.0% | 9.9%⤴ | 25.7%⤴ |
土木 | 66.1% | 11.6%⤴ | 32.1%⤴ |
建築 | 39.1% | 8.3%⤴ | 19.8%⤴ |
【作業員の休日取得状況】
達成率 | 2022年度通期との比較 | |
全体 | 84.9% | 7.8%⤴ |
土木 | 88.4% | 8.9%⤴ |
建築 | 81.5% | 6.8%⤴ |
閉所状況、休日取得状況ともに2022年度よりも達成度が向上し、上半期の集計時よりも週休2日化が浸透していることが分かります。特に土木の伸び率が顕著です。2024年4月からの時間外労働の罰則付き上限規制に対する対応策の一環として、週休2日化が推進された背景もあります。
建設業界週休2日に向けた日建連の取り組み
日建連では業界の週休2日化を実現するために、業務時間短縮に向けた取り組みを進めています。
2023年には、同年7月以降の民間発注工事を対象とした「適正工期確保宣言」を策定しました。適正工期での受注を促す「適正工期算定プログラム※」のアップデートも重ねています。
※適正工期算定プログラム(Ver.6)
建物概要を入力するだけで日建連適正工期の工程表を自動作成できるアプリケーション。歩掛データや天候データなどの莫大なデータをもとに、クリティカルパスや冬季補正などの算出も可能。
さらに日建連では、猛暑日の多い7月~9月の夏季を対象とし、以下の現場閉所目標を掲げました。
- 年間閉所目標104日のうち、3ヵ月間で26日間の閉所を実施
- 8月中旬に連続閉所日を設定
日建連では「2024年夏季『4週8閉所』推進強化活動」のポスター・サイネージデザインを制作し、休暇の確保と併せて夏季の建設現場の安全、作業員の健康保持を呼びかけています。
企業の週休2日化の取り組みがもたらす効果
続いて日建連の会員企業の週休2日化に向けた取り組みと、得られた効果を紹介します。
A社では4週8休(個人の代休含む)を継続した結果、現場で以下の変化が見られたそうです。
- 夏期の熱中症罹患を0件に抑えられた
- 着工からの無事故無災害を継続できている
またB社では、IoT機器の活用で現場状況確認を効率化し、月1~2回の一斉連休を採用した結果、以下の効果を確認しています。
- 従業員が休暇を計画的に取れて有効活用できるようになった
- 従業員の労働意欲の向上
- 定着率の向上
さらにC社では工程の無理をなくすために、工程会議を通じて2ヵ月先までの工程調整を行ったところ、以下の効用が見られたとコメントしています。
- 従業員が家族サービスできるようになった
- 休日を増やせるよう各自が意識した結果、作業効率が向上した
集中力が途切れると即、事故につながる建設現場では、週休2日制によるリフレッシュ効果が安全性向上に大きく貢献することは間違いありません。週休2日制によって従業員もプライベートや家族を大事にでき、安心して長く働けるようになります。
結構ある!建設業界の週休2日求人
最後に実際の建設業の求人から、週休2日の求人をピックアップして紹介します。
空港滑走路増設工事の工事監理(PM/CM)
必要な経験 | ゼネコン、建設コンサル会社、役所における土木工事の施工管理、工事監理、設計監理などの経験 |
資格 | 1級土木施工管理技士、RCCM、技術士のいずれか |
給与 | 月給 416,000円 ~ 583,000円(年収500万円~700万円) |
補償コンサルタント
必要な経験 | 土木設計または土木施工管理の経験 |
資格 | 土木工学、都市工学、衛生工学、交通工学、建築学にかかわる学科卒 |
給与 | 月給 250,000円 ~ 333,000円(年収300万円~400万円) |
鉄道工事の土木施工管理(工事監理)業務
必要な経験 | 3年以上の鉄道構造物または道路構造物(いずれも本体構造物)の新設の設計または施工管理の実務経験 |
資格 | 2級土木施工管理技士または同等以上の資格 |
給与 | 年収400万円~700万円 |
建設コンサルの立場での工事監理補助業務
必要な経験 | ゼネコン、サブコン、建設コンサル、官公庁での工事監理・施工管理・工務経験 |
資格 | 以下のいずれか1、2級建築/土木施工管理技士または1級建築/土木施工管理技士補1、2級建築士技術士、技術士補、RCCM |
給与 | 月給 375,000円 ~ 500,000円(年収450万円~600万円) |
今回紹介したのはほんの一例で、ほかにも構造物の劣化調査・点検や施工管理、CADオペレーター、資料作成事務など、多数の週休2日求人が掲載されています。
日建連や業界の取り組みで、週休2日の仕事はさらに増える見込みです。週休2日のお仕事が気になる方は、ぜひパシコン技術管理の求人をチェックしてみてください。