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2023年から始まる建設業界新制度研究~建設業退職金共済制度(建退共)

2023年度から「建設業退職金共済制度(建退共)」がCCUS(建設業キャリアアップシステム)に完全移行します。国が押し進める建設業界のシステム化により、建設業の働き方はどのように変わるのでしょうか。

「2023年から始まる建設業界新制度研究」、今回は「建退共」のCCUS完全移行をピックアップ。建設業で働く人の視点から制度について探っていきます。

建設業退職金共済制度(建退共)とは?

「建設業退職金共済制度(建退共)」は、建設業界で働く人のための退職金制度です。

建設業界全体の退職金制度のため、職場を移っても掛け金は引き継がれることが特徴です。退職金の支払いが生じるのは建設業界で働くのを辞めたときで、会社を辞めたときではありません。よって、仮に会社が倒産した場合でも将来の退職金は保証されます。

加入対象者は建設業に従事する、ほとんどすべての従業員です。職種や国籍は問いません。いわゆる一人親方も、任意組合で加入できます。

掛け金の支払いと管理の方法は、これまで1日あたり320円の証紙を、働いた日だけ数分共済手帳に貼っていました。今後はCCUSと連携することで手続きが電子化されるため、証紙の貼付は不要になります。掛け金は全額事業主負担のため、従業員側の負担はありません。

また、建退共の加入手続きは事業主が行うため、従業員側は加入手続きをする必要はありません。

国が建退共をCCUSに移行させた狙い

建設業界の働き手不足を解消するために、国は建退共を含めた職人の各種処遇改善を図っています。建退共と社会保険をCCUSと連携させることで、建設業従事者の社会保険加入を確実化し、若い世代の人が安心して働ける体制を整備する狙いです。

建退共の制度がCCUSに移行することにより、従業員は現場の入退場時にカードリーダーにタッチするだけで、就労履歴と退職金が自動で蓄積されます。個々の建設業従事者は、確実に退職金が貯まっている実感を得られるようになるのです。

建退共に加入するメリット

建退共もCCUS、いずれも任意の制度ですが公共工事の場合は加入が義務付けられています。建設業界で働く人たちにとってのメリットは、以下のとおりです。

・証紙が不要で手続きが簡略化される

・転職しても掛け金が通算される

・勤務先が倒産しても退職金が支払われる

・計算方法が公開されており金額に透明性がある

・退職金の照会や請求が行いやすい

・提携サービスで割引を受けられる(ホテル、レンタカー、アミューズメントなど)

退職金は建設業界で転職しても引き継がれるだけでなく、国が定めた基準によって運用・計算されているため、将来確実に受け取れる安心感があります。また内容照会や請求の窓口は、会社でなく建退共支部のため、気兼ねなく問い合わができます。

建退共がCCUSに完全移行して変わること

建退共がCCUSと連携することで、就業履歴と退職金記録が連動します。これにより退職金の漏れがなくなるだけでなく、就業記録の漏れも減らすことが可能です。現場を移るときに証紙や共済手帳を受け取れないといったミスやトラブルも、建退共のシステム化により防げるでしょう。

建設業従事者の社会保険加入を後押し

建退共とCCUSは強制加入ではないとはいえ、こうした建設業従事者の処遇改善施策は官民協働で進められているため、今後制度が浸透していくことは間違いありません。

就職する際に建退共とCCUSが導入されている先進企業を選べば、建設業界が以前より働きやすくなっていることを実感できます。

「2023から始まる建設業界新制度研究」シリーズ次回は、建設業界で進む社会保険加入と加入確認について紹介します。

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