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公共工事の発注者支援業務ってどんな仕事?業務内容や必要な資格をチェック!前編

建設業界には「発注者支援業務」という仕事があります。実際にはどのような仕事をしているのでしょうか。

今回は、公共工事における発注者支援業務について、前編・後編の2回にわたり紹介します。前編では、職務の位置づけや、具体的な業務内容について解説しますので、転職の参考にご一読ください。

発注者支援業務とは?

「発注者支援業務」とは、公共工事の発注にともない発生する積算や検査などの業務を、発注機関の職員に代わって行うものです。

ここでいう発注者とは、国(国土交通省・地方整備局など)、都道府県、政令指定都市などの行政機関および、NEXCO、UR都市機構などの公共工事の発注者を指します。

もともと発注者支援業務は、発注元の公務員が行っていた業務でした。しかし業務量が多く担当職員の負担が増えたことと、民間の雇用を増やす目的から、一部の業務が民間に委託された経緯があります。

発注者支援業務が広く認知されるようになったのは、2011年の東日本大震災の復興作業がきっかけです。近年はインフラ老朽化整備工事などで、民間会社が建設コンサルタント業務として、発注者支援業務を行うことが多くなっています。

発注者支援業務の位置づけ

発注者支援業務は建設コンサルタント業務の一部ですが、通常の建設コンサルタント業務とは、立場が異なります。通常の建設コンサルタントでは、立場が国と国民との中間であるのに対し、発注者支援業務は、国・行政の立場で業務を行う点が、両者の違いです。

発注者支援を行う者は「みなし公務員」と位置づけられています。みなし公務員とは、公共性・公益性の高い職務を行う民間企業の従業員のことで、郵便局や公共インフラ、通信会社・電力会社の職員などが、その例です。

みなし公務員の勤務体系は公務員と同様で働きやすく、収入も安定しているといわれます。参考までに、副業や接待・贈答などに関する規則については、会社にもよりますが、おおむね公務員に準ずるようです。

発注者支援業務の内容

ここで、発注者支援業務の具体的な仕事内容を紹介します。発注者支援業務には、以下の種類があります。

  1. 積算支援業務
  2. 技術審査支援業務
  3. 工事監督支援業務
  4. 公物管理補助業務
  5. 用地補償総合技術業務

1つずつ見ていきましょう。

1. 積算支援業務

積算支援業務は、主に公共工事に必要な費用を算定することです。数量計算書をもとに、予算書を作成するほか、工事発注用図面の作成、積算資料の作成・整理などを行う、デスクワークの多い職務です。

設計図や仕様書から必要な材料や数量(施工面積・材料の数や量・人的資源・時間など)を計算し、単価と掛けて材料費・諸経費・人件費などを求めます。トータルの数量を求めたのち、分割発注のための分割作業を行うことも、積算支援業務の一部です。

2. 技術審査支援業務

技術審査支援業務とは、入札における技術力評価の審査に関わる支援を行う業務です。

工事発注資料の作成(入札の公告関係)、入札参加者の確認・整理・分析、審査資料の作成などを行います。入札業者を価格と技術力の両面から、適切に評価するために欠かせない職務です。

3. 工事監督支援業務

工事監督支援業務とは、発注者の立場で施工管理業務を行う仕事で、発注者支援業務の代表的な職務です。主に、工事の資料作成、施工状況の照合、地元・関係機関への資料作成、検査の臨場を行い、工事の着工から引き渡しまでの全工程で、工事監督を支援します。

例えば、発注者・受注者間で工事の認識のズレが生じないようやり取りする「工事打ち合わせ簿」の内容を照合し、必要な書類を作成する職務などがあります。工事図面と実際の現場にズレが生じた場合に、現場を確認することも、工事監督支援者の役割です。

4. 公物管理補助業務

公物管理補助業務は、管理する部門ごとに業務が分かれています。

河川巡視支援業務、河川許認可審査支援業務、ダム管理支援業務、堰・排水機場管理支援業務、道路許認可審査・適正化指導業務の5種類があり、それぞれの巡視・点検、許認可審査、管理支援を行います。

例えば、川の堤防をオレンジ色の車が巡回しているのが、河川巡視支援業務の一環で、河川や河川敷に異常がないか、防災に差し障りがないかを巡視・点検しています。ダム管理であれば、同様の巡視・点検を行うほか、放流操作補助や見学希望者の案内なども業務に含まれます。

5. 用地補償総合技術業務

用地補償総合技術業務とは、建設用地の補償に関連する一連の業務支援のことです。具体的には、現地踏査から関係権利者の特定、交渉方針の策定、実際の用地交渉と交渉記録の作成、補償金や交渉用資料の作成、損失補償の承諾交渉などを行います。契約どおりに移転が行われたかどうかの確認も、用地補償総合技術業務に含まれます。

用地の権利者ごとに異なる対応が求められ、交渉力や責任感が問われる職務で、就業に際しては「補償業務管理士」の資格が求められることが多いです。

こうして発注者支援業務の具体的な仕事を見ると、書類作成をはじめとする、デスクワークが多いことがわかりました。後編では、発注者支援業務のやりがいや、必要な資質と資格、具体的な求人にもふれながら解説します。

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