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公共工事も脱炭素の時代へ|土木現場で進むGX建機・低炭素材料の活用

国土交通省は2025年4月、「土木工事の脱炭素アクションプラン」を公表しました。直轄工事を中心に、GX建機や低炭素型コンクリート、CO2排出量の見える化などを段階的に進める方針が示されています。

今後の公共工事では、環境配慮が施工計画や技術提案、工事成績評定にも関わる可能性が高まっています。今回は、土木工事の脱炭素化の動向と、施工管理・設計・発注者支援に携わる建設技術者に求められる知識を整理します。

国土交通省「土木工事の脱炭素アクションプラン」とは

「土木工事の脱炭素アクションプラン」は、2050年のカーボンニュートラル(CN)実現に向けて、国が発注する直轄の土木工事でCO2排出量の削減を目指す工程表です。土木工事では、施工時の建設機械、資材製造時のコンクリート、施工方法そのものがCO2排出量に関わるため、アクションプランではこの3分野を中心に施策が整理されています。

  • 建設機械の脱炭素化
  • コンクリートの脱炭素化
  • その他建設技術の脱炭素化

アクションプランの背景には、2024年の品確法改正と、2025年2月に閣議決定された温室効果ガス削減目標があります。

  • 2024年6月の品確法改正:公共工事において価格だけでなく、脱炭素化・工期・安全性・生産性への寄与などを考慮する方向が示された
  • 2025年2月の閣議決定:「温室効果ガスを2013年度から2035年度に60%削減、2040年度に73%削減する」という政府目標が示された

国交省は目標達成に向け、まずは直轄工事で低炭素型建機や低炭素型コンクリートの使用を原則化し、業界全体の脱炭素化を牽引していく方針です。

公共工事で進むGX建機・燃費基準達成建設機械・次世代燃料の活用

国は、2040年度の建設機械からのCO2排出量削減目標について、「2013年度比で約6割削減」としています。施工中のCO2を削減するために、低燃費・低排出の建設機械の普及と使用原則化を段階的に進めていく計画です。

【建設機械の脱炭素化ロードマップ】 

  1. 2025年度からGX建設機械の普及・導入促進、モデル工事・促進工事の実施
  2. 2030年度をめどに直轄工事における燃費基準達成建設機械の使用を原則化(油圧ショベルから)
  3. バイオ燃料や合成燃料など次世代燃料の活用を促進 
  4. ICT施工を原則化する工種を順次拡大

建機本体の燃費・電費性能の向上に加え、次世代燃料の活用、ICT施工や建設現場のデジタル化による施工全体の効率化も並行して進める方針です。

低炭素型コンクリートは公共土木にどう広がるか

2040年度までの政府目標を背景に、コンクリート分野でもグリーン建材の活用が進められています。中でも軸となるのが、低炭素型コンクリートです。

【低炭素型コンクリートの2系統】

  • CO2排出量の少ない原料を使用したもの
  • CO2を固定・吸収する技術を活用するもの

まずは適用範囲や供給体制、費用対効果について、試行を繰り返すなかで検証し、その結果をもとに用途などを指定したうえで順次原則化する方針です。

現状の低炭素型コンクリートには、従来品より製造コストが高いことや、品質・供給の安定性への懸念といった課題も残されています。それでも、国や自治体がGX製品を率先して調達する動きもあり、今後は、直轄工事での試行や評価制度の整備を通じて、適用可能な用途から段階的に広がっていくと考えられます。

CO2排出量の「見える化」が計画・提案・工事成績評定に与える影響

一定以上の排出削減に取り組み、効果を示した工事に対しては、工事成績評点での加点や表彰といったインセンティブが用意されています。国は今後、評価制度の対象をさらに拡大していく方針です。

こうした背景から、受注者側の建設技術者には以下の対応が求められるようになるでしょう。

  • 発注者提示の考査項目別運用表を事前に確認する
  • 実施要領に基づいた適切な削減計画を立案する
  • 低炭素建機やNETIS登録技術を積極的に採用する
  • 施工計画書に具体的なCO2削減策を組み込む

一方で、新しい取り組みゆえの課題も浮き彫りになっています。

  • コストや供給体制、評価手法の整備の遅れ
  • 既存の基準が新技術の普及を妨げている可能性
  • 軽油代替燃料が建設機械メーカーの保証外となりやすい

これらの課題に対し、国も試行錯誤を経て施策のアップデートを図っていく方針です。

脱炭素時代の土木技術者に求められる知識とスキル

脱炭素化が進む現場では、技術者に求められる知識の幅も広がっています。特に押さえておきたいのは、次の領域です。

求められる知識とスキルの領域具体的な内容
GHG(温室効果ガス)排出量の算定・可視化排出量算定ツールの使用、国の算定基準・マニュアルの理解
GX建機・次世代燃料の知識稼働時間、充電・燃料補給、出力特性を踏まえた工程計画
低炭素型コンクリート・グリーン建材の知識施工特性、品質管理、養生方法、適用条件の理解
ICT施工・DXの知識ICT施工、施工データの活用、現場の効率化・見える化
提案力・調整力発注者への提案、協力会社・資材メーカーとの調整、サプライチェーン全体での環境負荷低減

脱炭素化への対応は、施工段階だけでなく、調査・設計・積算・発注者支援の段階から関わるテーマです。低炭素材料やGX建機を導入する場合も、現場条件、品質、安全性、コスト、工程への影響を総合的に判断する必要があります。

そのため、これからの土木技術者には、新技術を知っているだけでなく、発注者や施工者の立場を踏まえて、実現可能な計画に落とし込む力が求められます。

「GHG排出量の算定に関わった経験がある」「GX建機や低炭素材料を活用した施工・設計・発注者支援の実績がある」といった経験は、今後の建設業界で評価されやすい強みになるでしょう。

さらに、ICT施工やデータ活用によって施工の効率化と環境負荷の低減を両立できれば、技術者としての提案力や現場対応力を高めることにもつながります。環境配慮と生産性向上を両立できる技術者は、これからの公共工事で求められる存在になっていくでしょう。

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