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建設業界の新3K「給与・休暇・希望」とは?国交省の本気の取り組みを検証

建設業の仕事は長年、3K(きつい・汚い・危険)だと思われてきました。しかし現在、国と業界を挙げてそのイメージを払拭する動きが活発化しています。

国土交通省が先頭に立って取り組む、建設業界の新3K「給与・休暇・希望」。今回は建設業界「新3K」に対する国の本気度と取り組みの成果を検証します。

建設業界の新3Kとは?

建設業では人材不足に加え、労働力の約4分の1が60歳以上と建設業従事者の高齢化も深刻化しています。

そこで国土交通省は2015年、建設業の長期にわたる担い手を確保するために、新3K「給与・休暇・希望」の実現を掲げ、さまざまな施策を講じています。

新3Kを実現するための直轄工事における取組

Ⅰ. 給与

建設業従事者の給与水準をアップさせる取り組みとして、「労務費見積り尊重宣言」を促進するモデル工事を実施しています。

労務費見積り尊重宣言とは、元請会社が下請会社へ見積依頼をする際に、技能に見合う適切な労務費を見積書に内訳明示するよう、要請するというものです。

そして下請会社の適切な労務費見積りを尊重する元請会社には、総合評価や成績評定でインセンティブを付与します。

給与アップのもうひとつの施策は、建設キャリアアップシステム(CCUS)の義務化モデル工事の推進です。これは受注者が下請けのCCUS登録事業者率に応じて加点されるというものです。

CCUSは事業者にとってはコストですが、建設業従事者にとっては適正な評価と処遇につながります。

Ⅱ. 休暇

国は直轄工事において、週休2日が確保できる工期を設定し、工期延長にともなう経費の補正を実施しています。

具体的には、週休2日の実施状況に応じて労務費を補正するほか、「週休2日対象工事」では成績評定で加点・減点をしています。

作業員の労務費(給料・賃金・手当)についても補正を行うことで、休みの増加による日給制作業員の収入減少を抑えています。

Ⅲ. 希望

国はi-Constructionの推進によるICT施工を実現し、生産性を向上させる取り組みを実施しています。

国土交通省によるi-Constructionのロードマップでは、2025年までに建設現場の生産性を2割向上させることで、最終的な新3Kの実現を目標としています。

ICTの活用により、施工時期の平準化も期待されています。このほかにも国は部品規格の標準化や、働きやすさとやりがいにつながる環境整備の取り組みなど、さまざまな未来志向の施策を実施しているのです。

※i-Construction:測量・設計・施工や維持管理など、建設業のあらゆるプロセスにICTを取り入れ生産性向上を図る取り組み。

建設業新3Kの取り組みに対する成果は?

国や業界による新3Kの本気の取り組みにより、建設業界には少しずつ変化が起こっています。どのような変化なのか、ご紹介しましょう。

変化その① 女性の技能者が増えている

近年、建設業に女性技能者が増えています。背景には、育児休業制度のような長く働くための制度が整備されてきたこと、工事現場に女子トイレや更衣室が設置されたことなどがあります。

さらに、建設業では一度習得した技能を長く活かせるため、キャリア形成がしやすいことも、女性技能者が増えている理由のひとつです。建設業界に女性が増えることで、業界全体に柔軟な働き方が広がるかもしれません。

変化その② IT技術導入によるDXが始まっている

建設業にもIT技術が導入され、企業や現場のDXが始まっています。具体的には、BIM/CIM・ドローン測量・ICT建機・遠隔臨場などのICT土木による危険個所での省人化や、電子納品などによる業務効率化などがその例です。

このほか、実際には資料のペーパーレス化やオンライン会議の実施、一部業務のテレワーク化も始まるなど、会社と工事現場の両方でDXが進んでいるのが、現在の建設業界です。

新3Kで建設業が選ばれる業界になる

国が新3Kの施策を推進してきた成果として、建設業は若手や女性にも選ばれる業界となりつつあります。

今後CCUSの義務化により、社会保障が充実し、キャリア履歴が確実に登録されます。建設業界での経験がきちんと蓄積されるため、結婚や出産、転居などのライフイベントがあっても職を得やすく、一度技能を身に付ければ、長期のキャリア形成が可能です。

建設業界はこれから成長する産業であるだけでなく、働き手を大切にする変化がおきている業界です。

現在転職をお考えの方は、新しい挑戦のステージとして、ぜひ建設業での仕事をご検討ください。

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